━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
vol.052
2017年8月31日 発行
ポルノ被害と性暴力を考える会 http://paps-jp.org
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ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)とNPO法人ライトハウス(LH)とのAV被害者に対する協働相談支援事業の解消について
2015年4月から開始した「PAPS&LH協働事業・AV被害者相談支援事業」は2017年8月31日をもって解消することになりましたのでお知らせいたします。「AV相談支援事業」を閉鎖するということではないことは念のため申し添えます。
ポルノ被害と性暴力を考える会は、きわめて女性凌辱的なアダルトビデオの制作をおこなっている監督に、青少年向けにポルノをとてもライトなありふれたものとして解説している児童書を執筆させ、発売した理論社という出版社に、全国から賛同者を募って、この本の絶版・回収を求めて抗議することから始まりました。抗議それ自体は出版社との話し合いは折り合いがつかず平行線で決裂しましたが、全国から寄せられた抗議の声をもっと大きな社会的な声にしていきたいと、抗議運動の中核となった人々を中心に2009年に「ポルノ被害と性暴力を考える会」を組織し、以来、ポルノグラフィーは単なる性的なファンタジーではなく、ポルノの中にはきわめて女性差別的・侮蔑的なものが含まれ、実際に作成の過程、流通の過程、消費の過程、存在することそのこと自体に被害者がいることを訴える社会啓発活動を行ってきました。
2013年に、PAPSのメールに初めて一人の方が相談を寄せてくだいました。膨大なネット情報の中からPAPSを探し当て、“AVには出演したくない。助けてください”と訴え、私たちは即座にその方に接触し、救援を試み、その方の件に関しては成功しました。その後、徐々に、AVにはもうこれ以上出たくない、発売を停止してほしい、回収してほしい等のAV関連の相談が増えてきました。おりしも、2014年ごろには、NPO法人人身取引被害者サポートセンター・ライトハウス(LH)へも同様の相談が数件寄せられていることがわかり、2015年4月から、PAPSとLHの両組織にブリッジをかける形で、「PAPS&LH協働事業・AV被害者相談支援事業」を立ち上げました。以来、2年5カ月間、寄せられる相談は増加の一途をたどり、2017年8月現在で累計は400件を超えました。
寄せられる相談には、双方の団体から人や知恵を出し合って対応してきましたが、もともと組織基盤や基本理念、活動ミッションを異にする二団体が、協働しながら事業を行うことに対する限界も見えてきました。そこで、この間両団体の代表者と支援を中心になって行っていた者とが協議を重ね、両団体ともにそれぞれの出発の原点に戻り、それぞれが独立、独自にAV被害者相談事業を展開していくことで合意に達しました。要するに今までは相談の入り口は二つで、中に入ってみると一つの体制で対応していたのですが、今後は相談窓口も二つ、中身も二つの団体でそれぞれ独自に対応することになります。
そこで、最大の問題になるのは、今まで相談対応が継続している方たちへの支援をどうするかということですが、この方たちについては、従来通りに「PAPS&LHによるAV相談支援事業」の枠内で、対応していきます。
2017年9月以降に寄せられる新規の相談に関しては、受け付けたそれぞれの団体が責任をもって対応します。
現在相談支援が進行している相談依頼者の方たちに対しては、「PAPS&LHによるAV相談支援事業」として従来通りの対応をします。また1年以上音信がなく再び相談を寄せる方も少なからずいますが、この方たちについては、相談を寄せた窓口別に新規の相談として受け付けていくことになりました。
私たちの活動によってAVの制作過程には性暴力被害者が確実に存在していることを明らかにすることができました。自らカミングアウトして、ご自分の被害の状況を語る方も出てくるなど、この2,3年の目まぐるしい動きがあります。2017年になって、政府は内閣府を中心にして対策に乗り出してきました。業界の動きも急速に展開するようになってきています。
この問題を担う団体が二つに明確に分かれることによって、二つの団体の独自性を生かしてさらに大きく社会問題化されていくことを願っています。
なお、PAPSは近々にNPO法人化して、ポルノ被害問題に関する抜本的で総合的な活動が展開できるよう、態勢を整えていきたいと考えていますが、この動きについては次号のメルマガにてお伝えします。
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