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メルマガvol.110「アウトリーチその2 ~とある女性との出会い~」


 ぱっぷすが本格的にアウトリーチ活動をするようになり、その時に出会った女性についてお話しようと思います(個人情報が特定されないよう、一般的なケースについて書いています。)

 貯蓄が底をつき都心の繁華街で路上生活をする中で役所に生活保護の申請をするも断わられた女性にも会いました。

 路上生活をするなか、ホストや繁華街に関わる方たちと交流をすることで、知り合いも増え、彼らから食事や飲み物をご馳走になり「ここの人たちはみんな優しい」と居心地の良さを感じたという人もいました。

 このような女性と出会った場合、ぱっぷすは提携しているシェルターに滞在してもらいながら女性の望む生活保護受給・居所の確保に向けて、自立支援、就労移行支援や医療に繋ぐ計画を一緒に立てることになります。

 この日まで路上で過酷な生活を送ってきた女性に、今夜からでも体を横にして休める場所があると伝えた時、“それは有難い”と輝かせた顔を忘れられません。ぱっぷすでは、シェルターで安全で足を伸ばせて休むことができる生活を送ることができたらと願い関わりを持ち続けています。

【役所へ相談・無料低額宿泊所】


 本人の希望により住民登録のある市役所の生活支援課を訪問し、生活支援課の職員から、生活保護の説明を一通り受けた後、「居所の確保として無料低額宿泊所を契約してから、生活保護を申請される方が多いですよ」と、貯蓄と居所がない女性のためは、無料低額宿泊所を案内されました。女性専用の宿泊所を見学するも、食事と居所の保証はありますが、門限により仕事できる時間の制限があり、働き盛りのある方では十分な収入が得られません。

 仮に生活保護を受給すると、保護費から宿泊代を差し引くことで貯蓄も出来ない額しか残らず、彼女の望む生活が出来ないため、入所を断念される場合もあります。相談支援員と無料定額宿泊所を見学した際に、どことは言いませんが高圧的な口調の男性が対応し「え!(君)選ぶの」と、生活保護を受ける側は居所の選択の自由がない状況になることを目の当たりにし、驚きました。その後、その無料定額宿泊所をネット検索すると、過去にニュース記事になったことがあるところで驚きました。

 生活福祉課からは、最初から生活保護を受給しながらアパート契約はできないこと、無料低額宿泊所から探す必要があること、本日中に無料低額宿泊所を契約して生活保護申請をしなければ、滞在しているシェルター所在地の自治体で申請しなければならない、「寮付きの仕事は主に男性対象の警備会社のみしかない」などの説明がありました。

【市役所・婦人保護施設入所】

 これまでのぱっぷすに寄せられたケースでは、市役所の女性相談員から、生活保護を受給しながら婦人保護施設への入所し、就労移行支援・医療に繋がる旨の説明を受けた女性もいます。その代わり、一定の期間は携帯電話が使えなくなる問題があります。スマホが利用できないことは現代社会では死活問題です。

日々の生活で独りの時間をスマホを使わないでどう過ごすか、場合によっては孤独をどう埋められるか、毎回の重要課題になっています。

どのように過ごすか対策を支援員と共に練り、中には、大好きな読書に充てることを決め、ぱっぷす支援員と一緒に図書館で限度冊数の本を借りに図書館へ行くこともありました。図書館では、好きな作家のこと、ぱっぷす支援員がおすすめした作家、「この本を借りたんだ」と、目をキラキラさせて教えてくれた人もいました。この様に対策をたてられたことで、婦人保護施設への入所について覚悟ができたことを伝えてくれた相談者の方もおり、支援者としても嬉しかったです。

【シェルターからの退所】

   行政に繋がり住む場所を見つけられた方もいれば、朝にシェルターを退所していたことを空になった部屋を職員が発見することもあります。

その場合は、「元気にしていますか、おなかがすいた、足を伸ばして寝たい、だけでも連絡して大丈夫ですよ」とメールで伝え、また繋がることを願っています。

 彼女たちと過ごして感じたことは、自分の生活を立て直したい気持ちがある反面、優しい言葉をかけてくれて食事をご馳走してくれる繁華街に関わる方たちに温かく、懐かしい気持ちがあるということです。あるケースでは、NPOの力がホストに負けていることも痛感しました。

 しかし、ぱっぷすは、これで支援終了ではありません。彼女たちが今の生活から抜け出したい時にいつでもお手伝いできるように体勢を整え、これからも活動を続けます。

 また彼女たちに、温かく手を差し伸べてくれたシェルターの職員、彼女の生活を立て直す計画を練っていただいた市役所の職員に感謝を申し上げます。

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