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メルマガvol.145「身近に潜む買春者」


NHKの朝ドラ「虎に翼」が話題を呼んでいます。 

今週は、「女子高生の売春事件」が取り上げられています。 

話の中では、補導された女子生徒・美佐江の「どうして悪い人から物を盗んじゃいけないのか、どうして自分の体を好きに使っちゃいけないのか、どうして人を殺しちゃいけないのか」というセリフがありました。 

 

「どうして自分の身体を好きに使っちゃいけないのか」 

どうして自分の性を売ってはいけないのか、皆さんなら、美佐江に何と答えますか? 

 

ぱっぷすの相談支援、アウトリーチ活動では、自分の性を売っている方々に出会います。 

皆さん、事情や背景も様々で、一括りにすることはできません。 

性を「売る人」がいるから「買う人」がいるのでしょうか。 

いいえ、私たちはその反対だと思います。 

「買う人」がいるから、「売る人」がいるのです。 

「買う人」がいなければ、売ることはできません。 

 

1956年に公布された「売春防止法」は「売る人」のみを処罰して、「買う人」は処罰されません。令和6年現在も、改正はされておりません。 

 

「買う人」を処罰しなければ「性売買」はなくならない、そう思わせてくれる、スタッフの体験談をぜひお読みください。 

 

*** 

 

久しぶりにあった男友達が「パパ活したことあるんだよね」と言ってきた。 

 

一瞬何を言っているかわからなかった。まさかこんなに身近にいると思わなかった。 

 

パパ活という言葉を男性から直接聞くのは初めてで、何の話かわからなかった。彼がパパのほうで、女の子と会ったということ理解するまで、少々時間がかかった。 

 

そもそも、そんなことを簡単に打ち明けてくる神経がわからない。 

 

「〇〇(ぱっぷすのカフェがある地名)で」 と言っていたので、夜カフェを利用している子かもしれない。 

知っている子を買ったかもしれないと想像したら、さらに背筋がゾッとした。 

 

なんでやったかのと聞いてみたら、「社会勉強」と笑いながら言っていた。X(旧Twitter)で探して声をかけたそうだ。 

「女の子に会ったら、『どうしよう。こんな若い人だと思わなかった』って言われたんだよね〜」と女の子のマネをしながらうれしそうに話す彼が、気持ち悪かった。 

 

「何かあったときに安心だからって向こうが言っていたから」 

 

ネットカフェでそんなことお話したそう。 

さも自分が相手の女の子を気づかっているかのように。 

 

何を話したのかぐいぐいと聞いてやったら、「こんなことしちゃだめだよって言ってあげた」と。 

 

は? 

 

いちばんダルい客だよ、それ。 

 

どれだけ上から目線なの。 

 

「あー、説教したんだ」と私が返事をしてやったら、 

「いや説教というか……」と濁してきた。 

認めないところが本当に腹立たしい。 

 

何を言うにもちょっと自慢気なのが癇にさわる。 

 

社会勉強を言いわけに女をSNSで物色し、呼び出してうれしい言葉をかけられていい気分を得て、さらに女を見下す。 

 

だいたい金払って女の子に説教とか、傲慢さがはなはだしい。 

 

それでも彼は、“彼女を支援してあげた”という満足感でいっぱいなのだ。 

 

「あのさ、女の子を買ったんだからね?」と問い詰めたら、 

「いや買ってないよ」という返事。 

 

そう、性行為をしていなければ「買ってない」ということなのだ。 

あくまでも、彼にとっては「支援」なのだ。 

 

こんなに身近に、そういう考えの人がいるとは思わなかった。 

 

いや、いてもおかしくないのかもしれない。 

 

こういう考えの人が多いから、性購買はなくならないのだ。 

 

いくら払ったのかは教えてくれなかった。 

 

後でカフェの女の子に相場を聞いたら、最初の顔合わせは5000円くらいだそう。 

 

あいつは5000円で支援してやったというしたり顔をしていたのかと思ったら、やるせなくなった。 

 

説教以外に何を話したのかも、女の子の年齢も絶対に教えてくれなかった。 

もしかしたら身体を触ったかもしれないな、最悪未成年かもしれないな、そんなことが頭をよぎる。 

 

そうか、彼も買春者だったのか。 

そう思った瞬間に、これまで楽しく過ごしてきた時間が、ガラガラと崩れ落ちた。 

 

確かに、片鱗はあったんだよなと思う。 

 

彼は笑顔で話を聞いてくれるような女友達とLINEをしたり遊んだりする。 

私みたいに気が強く、うるさい女とは、グループでしか会わない。 

 

ただ、次の日ふと、ああ彼も生まれ育った環境が良くなかったから、そうやって誰かを下に見ないと生きていけないのかもしれないな、なんておもんぱかってしまった。 

彼のつらかった過去を多少なりとも知っているから……。 

 

友人だと、こうやって擁護したくなる。 

そんな自分が情けなくなった。 

 

だとしても、だとしてもだ。 

彼の言葉の端々には、女をコントロールしようとする姿勢が見て取れるのだ。 

いや、女だけではないかもしれない。 

自分より弱いもの。 

年下、女性。 

 

自分が勝てないものには立ち向かわない。そして、自分が勝てると“思っている”年下や女に自分の力を振りかざす。 

なんて惨めな生き物だ。 

 

私たちを対等な人間として見ていないのだ。 

明らかに私たちは彼の一段下に、いや、もっと下に位置しているのだ。 

悲しいことに、本人は気づいていない。それは、自分を客観視できないからか、社会全体的にそうだからか、わからないけど。 

 

彼のそういった考え方に気づいてしまった今、どうやって彼とつきあっていこうか。 

 

彼とは今後一切縁を切って、私のまわりには、女性を対等な人間として尊重してくれる人だけを置くか。 

 

はたまた、共通の大切な友人はたくさんいるので、一縷の希望をもって、彼に気づきを与えるように努力するか。 

 

私にはまだ答えは出ていない。 

 

だがひとつ言えるのは、 

買春者のマインドはかなり身近に存在している、 

ということだ。 

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