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2024年5月の活動報告

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 2024年5月31日
  • 読了時間: 4分

ぱっぷすの5月の活動は、日々の現場支援から行政・国会への働きかけまで、多岐にわたるものでした。深刻な被害の実態に直面しながらも、スタッフ一人ひとりが試行錯誤し、知恵と力を出し合って支援を続けてきました。


1. 相談対応・アウトリーチ活動の現状

日々、多くの深刻な相談が寄せられており、支援現場ではスタッフが個別対応を続けています。最近特に目立つのは、セクストーション(性的脅迫)やデジタル性暴力の被害相談です。相談者の多くは若年層であり、最年少では10代前半の少女からもセクストーション被害に遭われたケースもありました。スタッフたちは、こうした相談に対して一つ一つ慎重に対応し、心のケアと法的対処の両面から支援しています。


また、リベンジポルノやAV出演被害などの被害にも対応しています。無修正サイトへの削除依頼や、販売停止を求めるアプローチも継続しています。削除要請については海外のアダルト動画投稿プラットフォームなどが相手となり、国内外の法律を駆使して交渉する場面も多くあります。加えて、AI技術を用いた画像検出システムの導入により、被害者自身が見つけられないデータの特定にも尽力しています。


フィールドワークやアウトリーチでは、路上生活に近い状況や妊娠中の女性たちへの声掛けや支援が続けられています。病院への同行や緊急搬送が必要となるケースもあり、行政や医療と連携しながら、現場での即応的な支援が行われています。特にアウトリーチでは、「妊婦を買う男たち」など、現代社会の深い闇にも直面しており、スタッフの心にも大きな衝撃を与えています。


2. 法律・政策提言と行政対応

行政府や立法府との面会も積極的に行われ、厚生労働大臣や副大臣への政策提言も実現しました。AV出演被害やホストクラブ商法に関する実態を伝えるため、限られた時間の中で当事者の声を代弁し、問題の深刻さを訴えました。特に、ホストクラブ商法の背景にある暴力団との関係や、少女たちが簡単に巻き込まれていく構造についても強く説明されています。


ホストクラブ商法については、法整備を求めるためのヒアリングにも参加し、警察や立法府に対する働きかけが続いています。暴力団排除が進まなければ被害がなくならないという現場の実感を基に、法の不備を訴えていきます。


3. 被害者の言葉の発信と社会啓発

相談者の中から、自らの被害体験を文章にまとめ、「デジタル性暴力とともに生きる」というタイトルでメルマガ配信を行いました。相談を重ねる中で、被害者が社会に向けてメッセージを発することが、他の被害者への大きな支えとなるとスタッフは感じています。


また、性暴力やデジタル性暴力に対して社会全体で考えてもらうための啓発活動として、メディア取材への対応や講演活動も活発に行いました。取材を通して、AIを活用した削除対応や、若者への加害予防教育の必要性も訴えています。


4. スタッフの気づき・支援の中での学び

スタッフたちは、日々の相談や支援を通じてさまざまな葛藤や学びを得ています。アウトリーチでは、「死にたい」と訴える女性や、切羽詰まった状況の中で出会う妊婦さんへの対応に、スタッフ自身も、都内の繁華街でであう女の子の少なからずは、これまで受けてきた福祉サービスに対し疎外感を感じていることから、どのようにして福祉へのアクセスのハードルをどのようにして下げていけば良いか本当に考えさせられました。それでも、「そこに話を聞いてくれる人がいることの大切さ」を実感し、寄り添うことの意味を再確認しています。


また、支援現場での対応を通して、相手に対する先入観や固定観念を持たずにフラットに接することの重要性も語られました。支援者が「支える人」としてではなく、「共に悩む人」として相談者に接することが、相手の力を引き出すことにつながるという学びが共有されています。


5. 内部体制・組織運営の課題

経理や労務関連の整備、助成金報告、総会対応など、事務業務が集中する時期となり、現場スタッフが並行して事務作業もこなす状況が続いています。業務負担が極限まで高まる場面もありました。


一方で、内部体制強化に向けて、AIによる相談対応補助のシステム構築も進行しており、将来的には業務負荷軽減を目指しています。こうした技術活用が、支援者の疲弊を防ぎ、より多くの相談者に対応するための鍵となると考えられています。


6. 課題と展望

今後の大きな課題は、急増する相談に対する支援体制の拡充とスタッフのケアです。被害相談の件数が飛躍的に増える一方で、対応するスタッフの疲労や精神的負担も深刻です。そのため、継続的な人材確保と、スタッフ同士の支え合い、メンタルヘルスへの配慮が欠かせません。


また、支援の最前線から見えてくる問題—ホストクラブ商法、デジタル性暴力、若年層の性的搾取—に対して、より実効性のある法制度や支援制度を確立していくための政策提言も重要な課題です。



 
 
 

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