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2024年6月活動報告

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 2024年6月30日
  • 読了時間: 5分

1. 相談支援・アウトリーチに関して

6月は、社会からの理解と支援の広がりと、日々の相談支援現場の限界と葛藤が交錯する1か月でした。個々の相談者への支援の一方、行政・法整備への働きかけ、マネタイジングミソジニー・ヘイトスピーチへの対応と、マルチタスクな団体運営が行われました。また、支援者自身が疲弊しないための「無理しない支援」「チーム支援」の重要性が何度も確認される一か月でした。


■ デジタル性被害・セクストーション対応

TikTokやX(旧Twitter)、ノートなどSNSプラットフォームに投稿された被害コンテンツの削除要請支援では、プラットフォーム側の対応方法の変更が大きな問題として浮上しました。以前はぱっぷすが代理で削除申請できたものが、「本人がその場で顔写真やセルフィーを送らないといけない」というルール変更により、相談者本人が対応しなければならなくなっています。これにより、精神的負担や抵抗を感じる相談者への配慮と、支援者がどこまで寄り添えるかのバランスが問われました。マニュアル整備が進められています。

また、男性被害者からの相談もあり、FC2や海外プラットフォームの対応困難性も浮き彫りになりました。過去には排泄物動画の拡散といった重度案件もあり、スタッフのメンタルケアの重要性も共有されました。


■ 居場所支援「夜カフェ」の利用者の接し方

オーバードーズ・過食・嘔吐の傾向がある利用者が食べ続けてしまう、他の女の子たちの距離感の取り方がわからない利用者など、居場所支援におけるルール作りと個別対応の難しさが浮き彫りになりました。その都度、ミーティングを行い、さまざまなケースでの対応方法を検討しました。


2. 削除要請や法的対応をめぐる変化と課題

削除要請における制度やプラットフォーム側の対応が厳格化し、対処できない場面が増えています。XやNoteでは本人のセルフィー写真提出必須など、新たな障壁が生まれています。これにより、ぱっぷす内でも本人にどこまで求めるかの線引きが求められました。


さらに、削除対象物があまりに過酷(排泄物やリベンジポルノ、児童ポルノ類似)な場合、スタッフ自身が精神的に傷つく事例も多く、削除対応時の心のケア、業務分担、交代体制の整備が重要課題になりました。また、ロシアSNSの対応では「本人が性的動画を持っている証拠を出せ」との要求があり、被害者にとって無理な負担が課せられている現実も報告されました。


3. 行政対応・協働・政策提言

若年女性支援団体への補助金を受けている団体に対する誹謗中傷や行政への過剰要求などによる業務妨害もありました。


また、ホストクラブ商法問題、若年女性支援・AV出演被害防止救済法新法に関する政策提言など、社会制度の限界と制度改革の必要性が話し合われました。


特に、支援団体の中では、ぱっぷすのスタンスと明らかに違う価値観の団体との間での支援方針の違いがあり、ぱっぷすは「ラポール形成と当事者主体」、他団体は「なんでも対応」のスタンスについて、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)という4つの要素にもとづき、メリット・デメリットなどを評価分析し議論を重ねました。


他団体の支援方針については尊重しつつも、ぱっぷすの「性差別・性的搾取をなくす」に基づく支援姿勢が改めて確認することができました。


4. 社会動向と反響

大手メディア取材による「削除要請AI」やデジタル性暴力被害への対応の社会的認知向上と、その反響が大きなトピックでした。NHKの特集番組による性的搾取の加害者への取材が社会に大きな衝撃を与え、相談者やスタッフにも影響が広がっています。


一方で、東京都知事選挙ではヘイトスピーチを含むポスターが公に掲示されるという事態が発生し、「若年女性への支援活動への揺さぶり」とも言えるような社会状況が浮き彫りになりました。この状況に対して、スタッフの間では深い怒りと戸惑いが広がっています。


私たちが特に問題視しているのは、その内容が真実かどうかという以前に、フェイクや過激な内容が「エンターテイメント」として消費され、多くの人に視聴されることで簡単にPV(ページビュー)を稼げてしまうという現状です。


これは、ぱっぷすがこれまで向き合ってきた「デジタル性暴力」の問題と同じ構造です。被害者のプライバシーや尊厳を傷つけるような画像や動画が拡散され、加害行為が収益化されるという現象と重なります。


今後の政策提言や情報発信のあり方についても、改めて考える機会となりました。これまでぱっぷすが受けてきた誹謗中傷とディフェンスに対しても、社会に還元していく必要があると考えています。



5. 内部運営・スタッフケア

経理・領収書管理などの会計対応の改善を進めていますが、特に、経理ソフトと助成金ごとに個別でエクセル管理を行っているため、データ共有や連携に不備が生じやすい状況です。このため、税理士に相談しながら、業務フローの見直しを実施し、より一貫した管理体制を整えることで、業務効率の向上とミスの防止を目指しています。


また、スタッフケアでは過酷な業務によるバーンアウトのリスクが頻繁に議題に上がりました。スーパーバイザーからは「自分にできる範囲で」「無理をしない」姿勢が強調され、相談員同士の支え合いも呼びかけられました。


6. 学び・広報

大学や学会での講演・授業、外部講演への参加を通じて、ぱっぷすの活動への理解を広げる取り組みも続いています。また、相談者やカフェ利用者向けに役立つ本(依存症・トラウマ・女性の視点から)を紹介するなど、支援活動と啓発活動を結びつける試みも行われました。



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