top of page

2024年7月 活動報告

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 2024年7月31日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月16日

現在、ぱっぷすは、性的搾取やデジタル性暴力の相談を受けるだけでなく、搾取される若い女性たちにとって「最後のよりどころ」となっています。


しかし今、ぱっぷすは「マネタイジング・ミソジニー(女性嫌悪による収益化)」「お金や人手の不足」「制度が追いついていない」という3つの大きな壁に直面しています。それでも、法改正を目指す動きや行政との話し合い、支援の現場での地道な活動によって、少しずつ成果が見えてきました。


これからも、現場で得た知識や当事者の声をもとに制度や社会を変えること、そして一人ひとりへの支援を続けること、その両方に力を尽くしていきます。


相談・支援対応の状況と見えてきた課題

ぱっぷすに寄せられる相談は、以前から多かったデジタル性暴力やリベンジポルノの相談にとどまらず、セクストーション、ホストクラブ商法、家族や恋人からのデジタル性暴力、生活困窮、これらにより生じたメンタルヘルスの疾病など、複数の困難が重なるケースが増えています。単なるデジタル性暴力の被害者支援ではなく、被害を受けた方の人生全体にかかわるようなサポートが必要になっており、相談内容の複雑さや深刻さが日に日に増していることが共有されています。


その一方で、相談件数が急増するなかで人手や資金が追いつかない現状も浮き彫りになっています。支援の最前線に立つスタッフは、日々10件以上の新規相談を受けており、その中には緊急を要するケースも多く含まれています。しかし、対応が間に合わず、返事が遅れてしまっていることに対する危機感も共有されています。


また、セクストーションや性被害の被害者が警察に相談しても「対応できない」と言われてしまう事例が後を絶たず、法的な整備や行政対応の不備も深刻な課題となっています。こうした課題に対しては、警察や行政への政策提言といった「支援の外側」の動きも重要です。


相談の中には、スタッフへの依存や脅しに発展するケースもあり、スタッフの安全やメンタルヘルスの課題も深刻です。相談者本人の「今すぐに何とかしてほしい」という気持ちに応えようとする一方で、スタッフ側も疲弊してしまう状況が続いています。だからこそ、スタッフが安心して働き続けられる体制づくりが求められていることが、改めて認識されています。


ホストクラブ商法と売春防止法改正をめぐる政策提言

若年女性の搾取が日常化しているホストクラブ商法については、ようやく警察庁での検討会も始まりました。その中で、ぱっぷすは実際に寄せられている相談をもとに「借金を背負わせて働かせる仕組み(売掛金)の禁止」や「ホストクラブの営業そのものへの規制」、また「悪質な店舗オーナーや運営者を含めた連座制の導入」など、具体的な提案を行っています。


現場では「ホストクラブから抜けたい」と相談してくる若い女性もいれば「ホストの誕生日に300万円を用意しなければ、ホストとの関係が破綻してしまう」ような、抜け出せない深刻な依存状態にある女性もいます。こうした状況は単なる個人の問題ではなく、制度として若い女性を搾取する社会構造であり、そこにどう立ち向かうのかが議論されています。


また、売春防止法の見直しをめぐっては、「買春者に対する処罰規定を新たに導入すること」が大きな課題です。これまでの日本社会では「売る側」だけが取り締まり対象とされてきましたが、買う側が全く野放しであることの不均衡をただすためにも「買春の勧誘を罰する」という考え方が重要です。


さらに、こうした法改正や制度整備にあたっては、ぱっぷすのような女性支援団体だけでなく、他団体との連携など幅広いアプローチが必要であり、立法過程でどのように動いていくかが重要な段階に来ています。


誹謗中傷問題と社会的な揺さぶり

最近では、ぱっぷすに対する組織的な誹謗中傷や社会的な攻撃も強まっています。特に東京都知事選の際に掲示されたヘイトスピーチを含むポスターや、ネット上での攻撃によって、ぱっぷすの活動自体に心配される利用者の家族の問題があります。


実際に、支援を受ける若年女性の中には「親にぱっぷすのことを知られてしまうと、ネットのデマを信じて支援を受けさせてもらえないかもしれない」と恐れる声もあがっています。


これらの攻撃は、単なる誹謗中傷にとどまらず、若年女性が支援につながる道をふさぐ効果を持っており、現場のスタッフにも深刻な影響を与えています。この問題にどう対応していくか、法的措置を含めた対応方針や広報戦略が求められています。


資金と人員体制、今後の展望

活動資金については、これまでの危機的な状況からやや持ち直しつつあり、海外からの支援(1,000万円規模)も得られることができ、勤務時間の拡大や新規雇用の可能性も検討されています。しかし、支援の増加が一時的なものに終わらないよう、継続的な寄付者の拡大と組織基盤の強化が急務です。


一方、こうした資金の増加を受けて、スタッフの働き方や待遇の見直しも進められており、現場の支援者が安心して働き続けられるようにする取り組みも動き出しています。


今後の課題としては、8月3日の活動報告会をはじめ、ぱっぷすの活動を社会にもっと知ってもらう機会を作ること、また広く寄付や支援者を募る仕組みを整えることがあげられています。


コメント


bottom of page