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2024年8月の活動報告

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 2024年8月31日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月17日

1. 相談・支援活動の現状と課題


ぱっぷすの活動現場では、性的搾取やデジタル性暴力、セクストーション(性的脅迫)など、深刻な被害を受けた人々からの相談が日々寄せられています。

特に10代の少女や若年女性から「裸の写真を送ってしまった」「脅されている」といった切迫した相談が増え続けています。また、被害者本人だけでなく、親や福祉の関係者、学校の教員などからの間接的な相談も後を絶ちません。


しかしながら、相談件数の増加に対してスタッフの人数が追いついておらず、対応に限界が来ています。そのため、返信をお待たせしてしまうケースも多く、一部では半月以上も待たせてしまう状況も出ています。スタッフは「なるべく早く対応したい」という気持ちで日々働いていますが、相談者が命の危険に直面している場合もあり、緊急性と人手不足との狭間で苦しい判断を迫られることもあります。


また、セクストーション被害については、相談の初期段階では「もう大丈夫」という返信があることもありますが、その後も心配が続く場合が多く、長期的な伴走支援が必要です。一方で「警察に行くべきなのか」「誰にも相談できない」といった迷いを持つ人も多く、被害者の不安や孤立感が強まっていることが伝わってきます。


相談者の中には、10年前のAV出演を理由に今も苦しんでいる人もおり、「誰にも言えなかった」と涙を流して話してくれる姿から、こうした被害がいかに長期的かつ根深いものであるかを痛感します。


2. 削除要請とデジタル性暴力への対応


ぱっぷすでは、日々スタッフがAV出演や性的画像・動画の削除要請を行っていますが、その作業は非常に過酷なものとなっています。

一度削除に成功しても、またすぐに再投稿されることが多く、同じコンテンツに対して何度も対応しなければならない状況が続いています。特にGoogleキャッシュやTwilogなど第三者によるアーカイブにも残され、完全な削除が難しいという問題が深刻化しています。


相談者の「もう消してほしい」という切実な声に応えたいという思いがある一方で、限界のあるプラットフォームの対応や削除後の再拡散に対して、スタッフの無力感や苛立ちも大きくなっています。


さらに、海外の無法サイトに関する問題も深刻で、国内対応だけではどうにもならない事例も増えてきました。そうした中で、国際的な弁護士ネットワークの活用を模索しているものの、費用や制度の壁もあり、すぐに進展させることは難しい状況です。日々の削除対応に加えて、相談者から「なぜまだ消えないのか」と責められることもあり、現場では大きなプレッシャーを抱えながら対応を続けています。


3. アウトリーチ・カフェ・ハウス関連の活動と課題


ぱっぷすのアウトリーチでは、歌舞伎町をはじめとする路上で困難を抱える若者たちに対して、声をかけ支援につなげる活動を続けています。特に最近では、18歳前後の少女がシャワーも使えないまま長期間路上生活を送っているケースや、発熱・OD(薬物の過剰摂取)といった緊急対応が求められる場面も増えています。また、カフェでは暑さや湿度の影響による体調不良も見られ、エアコンやトイレの故障といった設備上の課題が、利用者支援に影響を与えていることも明らかになっています。

カフェ利用者からは、「どこにも行けない」「泊まる場所がない」といった声が多く、泊まる場所の確保、シャワーや食事の提供といった緊急支援の必要性を感じさせられます。また、利用者の中には日々性産業に従事している人も多く、「もう疲れた」「辞めたい」と訴える声も多くあります。スタッフもまた、そうした現場での支援の中で「ホスト最悪」「自分も何かできることを考えたい」と感じながら活動を続けています。


4. 社会発信・法改正への働きかけ


ぱっぷすは、警察庁や行政とのヒアリングを通じて、デジタル性暴力やAV被害の実態を政策に反映させるための働きかけも行っています。特に、「犯罪被害者支援計画」に「デジタル性暴力」という言葉を盛り込むことを求める声が届けられ、警察庁も真剣に耳を傾けてくれている様子が報告されています。一方で、性教育や包括的性教育の必要性については、議員や行政担当者によって理解に差があり、議論の難しさも感じられます。中には「性教育は親や教師がやるべき」という意見もあり、そうした中で「性教育がなぜ性暴力防止につながるのか」を粘り強く説明する努力が続いています。


また、活動報告会や講演活動を通じて、市民や議員との対話を深める中で、性的搾取問題への理解や関心を広げる努力も重ねられています。最近では、誹謗中傷を受けた議員たちとも連帯し、「マネタイジングミソジニー(女性憎悪による金儲け)」への対抗としての発信も強まっています。



5. 団体の今後と展望

ぱっぷすは、これら多くの困難に直面しつつも、「性的搾取をなくす」という揺るがぬ目標に向かって活動を続けています。スタッフ不足や資金難の中でも、相談対応、削除要請、アウトリーチ、法改正への働きかけなど、多方面からアプローチし続けています。


今後も、現場から得た知見を社会に還元し、制度や意識を変えていくこと、そして目の前の一人ひとりへの支援を両立させていくことが目指されています。

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