top of page

2024年9月の活動報告

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 2024年9月30日
  • 読了時間: 6分

更新日:3月17日

1. 相談支援・緊急対応の現状と課題


日々、ぱっぷすの現場では、さまざまな相談が相次ぎ、深刻な状況が続いています。特に目立つのが希死念慮や自傷行為に関する対応であり、夜カフェを訪れる若者たちの中には、OD(薬物の過剰摂取)やリストカット直後の状態で来るケースが多発しています。


夜カフェのスタッフたちは、こうした緊急事態に対し、適切に寄り添う努力を続けていますが、目を離せば命の危険がある状況での対応に疲弊している様子も見えました。また、「警察を呼ぶかどうか」といった重大な判断を迫られる場面では、スタッフ間でも迷いが生じており、支援と安全確保のバランスの難しさが浮き彫りになりました。


さらに、カフェの利用者の一部には、他の利用者に対して心理的な「依存」や「脅迫」のような関係性が生まれる場合もあり、スタッフ自身が「あなたは味方だよね」と迫られ続ける中で、心身ともに疲れ果ててしまうという報告もありました。こうした関係性の中で、自分自身を守ることの重要性や、複数のスタッフによるチーム対応の必要性も議論されています。


また、相談の現場ではAV出演被害やリベンジポルノといった性的搾取の被害に関する相談も依然として高く、相談者によっては同意のないアダルトビデオが国立国会図書館で閲覧可能になっている事実に直面し、苦しむ姿もありました。相談者の中には、長年削除依頼を続けてきた人もおり、被害が「終わらない」という現実に向き合わざるを得ない状況が続いています。


2. カフェ・アウトリーチ・ハウスを通じた直接支援とその課題


夜カフェやアウトリーチ、宿泊支援では、路上で生活する若年女性たちや、家庭に居場所がない少女たちへの対応が続いています。


特に夜カフェでは、行き場がない少女たちが訪れ、泊まる場所を必要とするケースが目立ちます。「一泊だけ」などのショートステイの対応が多く、長期的な居場所を見つけることができないまま、再び路上へ戻ってしまう方もいます。しかし、繰り返しハウスを利用することで、長期的な居場所につなぐこともできた事例もありました。


一方で、ぱっぷすのスタッフが自治体や他団体と連携して一時的な保護場所としてひつじハウスを利用できるようにし、ケースごとに臨機応変な対応が求められています。個別ケースの調整の中で、制度的な限界や連携の難しさも見えてきました。


また、支援する側のスタッフたちも日々の活動で心理的な負担を抱えており、カフェ勤務の翌日に「記憶を消したい」と感じるほどのストレスも報告されています。スタッフが心身の健康を保ちつつ支援活動を続けるためのサポート体制の強化が求められている現状です。


3.性的搾取・デジタル性暴力被害への対応と削除要請


性的搾取やデジタル性暴力の被害者支援においては、削除要請が依然として中心的な課題となっています。ネット上で拡散され続けるAVや性的画像・動画の削除を巡っては、MissAVやピンクちゃんねるといった悪質なサイトの問題、さらには国立国会図書館へのアダルトビデオをムックとして納めている新たな課題が浮上しています。スタッフは削除要請を日々行っているものの、拡散のスピードが早く、完全削除が不可能に近い現状に直面しながらも、被害者からの「なぜ消えないのか」という切実な声応えつづけています。



4.社会発信・法制度・講演・広報


ぱっぷすは、社会への発信や法制度の改善にも継続的に取り組んでいます。内閣府やアメリカ国務省との意見交換を通じて人身取引や性的搾取問題を訴え続けると同時に、国内外の課題を共有しています。また、韓国のデジタル性暴力に対する市民運動との連携も始まりつつあり、国際的なネットワーク構築も視野に入れた動きが進んでいます。


さらに、講演活動やメディア対応を通じて社会に向けた発信も行われており、最近では寄付バーでのプレゼンや、若年層向けに「15歳からの社会保障」のような書籍紹介なども行われました。しかし一方で、広報担当者不在などによる情報発信の停滞も課題となっており、広報体制の強化が求められています。


5. 団体運営と内部の議論・倫理的な課題


カフェやアウトリーチの人員補充が必要とされており、採用活動も活発に行われています。スタッフの疲弊を防ぎ、持続的な支援を行うためには、新たな人材確保と育成が重要な課題です。他にも、寄付やクラウドファンディングなど活動資金を集めるためのミーティングしています。


6. 社会的提言と対外的な議論


ぱっぷすでは最近、あるイベントに参加した際、「風俗は福祉です」と公に主張する団体の人たちと対話する機会がありました。この団体は「風俗の仕事もケア労働であり、介護や接客と同じ感情労働だ」という立場から、風俗業を肯定的に捉えているようでした。そのため、性的搾取を批判し、被害者支援を行っているぱっぷすの活動や理念とは、根本的に異なる価値観を持っていることが明らかになりました。


実際に対話の中では、「おじいさんが100万円払ってでも女性にハグしてほしいと言ったら、それは需要と供給が一致しているからいいのではないか」といった意見が出されました。こうした考え方は、ぱっぷすがこれまで相談者たちの苦しみから学び、大切にしてきた「人がモノのように扱われないこと」や「性を売り買いすることの性暴力性」という視点とは大きくかけ離れているとスタッフは感じました。


また、議論の場では「風俗を辞めた女性がいるから、その人を否定したくない」という感情的な理由から、業界全体を肯定するような発言もありました。


しかし、ぱっぷすとしては「辞めた女性を否定しない」ことと「性搾取を社会からなくすこと」は矛盾するものではなく、両立するべきだと考えています。支援者として、目の前の一人ひとりの思いに寄り添いつつ、制度や社会の問題として性搾取の構造を批判するという立場を大事にしています。


さらに、議論の中で「風俗は福祉だからいい仕事」という価値観を持つ人々が、ぱっぷすのように被害を訴える人たちの存在や苦しみを理解しようとせず、「自分たちの世界観」だけで話を進めようとしていることにもスタッフは危機感を持ちました。


そのため、このような対話の場では、表面的な理解や「お互い大切な活動をしているよね」といった安易な妥協ではなく、しっかりと立場の違いを確認し合うことの重要性を感じました。また、このような対話の際に、ぱっぷすのスタッフとして毅然とした対応を取るべきか、柔らかく意見を聴きつつ対話の糸口を探るべきかについても内部での迷いや葛藤があることが共有されました。

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page