
みなさん、こんにちは。ぱっぷすです。
3月に入り、少しずつ春の訪れが感じられる時期になりましたが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?
今回は、2025年2月の私たちぱっぷすの活動について詳しくご報告します。
性的搾取やデジタル性暴力など、リアルタイムに届く「困っている」「助けて」の声に応え続けながら、性的搾取を終わらせるための活動を行ってきました。
1. 日々届く相談とネット被害の削除支援 ~終わらない「被害」と向き合って~
ぱっぷすには、毎日のように「助けて」という切実な声が届きます。 その内容はさまざまで、ネットに流出した性的な画像の削除を求めるものから、ホストクラブでの借金、AV出演被害、家に帰れないといった生活に関するものまで、幅広く寄せられています。
相談者の多くは、誰にも頼ることができず、一人で苦しんでいる子ども・若者たちです。「相談しても・・・」「自分が悪いのかもしれない」と思い込み、ギリギリまで誰にも言えずに耐え続けているケースも少なくありません。
そんな彼女たちの声を、どうやって受け止め、支え、解決につなげていくのか。 ぱっぷすでは、日々寄せられる「困りごとや」「助けて」のひとつひとつに向き合いながら、スタッフが必死に対応しています。
相談件数の増加と対応の現状
2025年2月は387人の相談が寄せられています。これに加え、すでに支援中の相談者とのやり取りも継続的に続いているため、スタッフは日々大量の相談を抱えながら、一つひとつのケースに向き合っています。
また、緊急性の高い相談については、警察や行政機関と連携しながら解決に向けたサポートを行っています。
サポートの手が届かないと、被害が深刻化することもあります。 「一人で抱え込んでいるうちに、ネット上でどんどん画像が拡散してしまった」 「誰にも相談できずにいたら、借金が膨らみ、性風俗で働かざるを得なくなった」 そんなケースが少しでも減るように、ぱっぷすは相談者の「困っている」「助けてほしい」という声に応え続けています。
デジタル性暴力
ぱっぷすに寄せられる相談の中で最も多いのが、デジタル性暴力に関するものです。
「元カレが、私の裸の写真を勝手にアップしていた」 「SNSで知り合った人に脅されて、写真を送ったら拡散されそうになった」 「知らないうちに、私の画像がアダルトサイトで使われていた」
こうした相談が後を絶ちません。
一度ネットに出てしまった画像は、拡散スピードが非常に早く、削除が間に合わないと被害がどんどん拡がってしまいます。 しかし、日本の法律では、こうした被害にあった人がすぐに保護される仕組みがまだ整っていません。そ、被、被害者自身がサイト運営者に削除を依頼しなければなりません。「自分でやるのは怖い」「どこに連絡したらいいかわからない」といった声が多く聞かれます。
そこで、ぱっぷすは被害者に代わって削除要請を行う活動を続けています。スタッフが一つひとつのサイトを確認し、適切な方法で削除要請を出す。削除が認められるまで粘り強く交渉し、少しでも早く被害者が安心できるように取り組んでいます。
しかし、この作業はすべて手作業で行っており、1件1件対応しなければならないため、膨大な時間と労力がかかります。そのため、ぱっぷすでは現在AIを活用した画像検出・削除支援システムの精度向上を進めており、より迅速に削除要請できるよう取り組んでいます。
性的搾取・ホストクラブ・AV出演被害
ぱっぷすには、ネットに流出した画像の削除依頼だけでなく、性的搾取に関する相談も多く寄せられています。 ホストクラブの借金、AV出演・性風俗・パパ活といった「搾取の構造」の中で抜け出せなくなってしまった若者たちが、苦しみながらも「どうしたらいいのかわからない」と助けを求めてきます。
しかし社会では、「自分で選んだんでしょ?」「そんなことするから悪いんだ」と、本人の自己責任で片づけられてしまいます。しかし、ぱっぷすでは、そうした若者たちの声に耳を傾け、どうすれば抜け出せるのか、一緒に考え、具体的な支援につなげています。
彼女たちがここから抜け出せるよう、ぱっぷすでは日々全力でサポートを続けています。しかし、相談件数は増え続け、支援体制が追いつかない状況もあります。

2025年3月7日に、ホストクラブ商法の規制に関する閣議決定が行われました。
ぱっぷすでは、2023年5月から、ホストクラブやコンカフェなどにおいて、若年女性に所有資産を超える金額を飲食に使わせ、借金漬けにした上で、返済のために路上売春や公衆衛生・公衆道徳上の有害業務へと斡旋し、さらには詐取などの違法行為に加担させるといった問題を取り上げ、多くの若年女性が犠牲になっている実態を東京都議会に訴えてまいりました。さらに、2023年10月の「頂き女子」の事件をきっかけに、ホストクラブ商法に特化したアドボカシー活動を展開してきました。皆様のサポートがあったからこそ、多くのメディアの皆様のご協力を得ながら広く発信することができ、政策提言やロビー活動ができ、立法府および政府に対して法制度の必要性を強く訴えることができました。心からお礼申し上げます。
2. 「夜カフェ」~帰る場所がない、ひとりだと辛い、そんな子どもや若年女性のために~

ぱっぷすが新宿で運営している「夜カフェ」は、行き場のない若者たちが安心して過ごせる場所です。家庭や学校、社会の中でつらい思いをしている若者たちが、ほっと一息ついて温かいご飯を食べたり、スタッフと話したりできる場所です。
2月もたくさんの子たちが夜カフェに来ました。
「今日、寝る場所がない」
「親とケンカして帰れない」
「誰かに話を聞いてほしい」
そんなふうに、自分の居場所がない子たちや若年女性がたくさんいます。
ある日、まだ10代でアルコール依存になってしまった女の子が来たこともありました。
話しかけても、最初は目を合わせることもできず、ずっと手で顔を隠していましたが、時間をかけてゆっくり話すことで、少しずつ心を開いてくれました。
カフェの中ではスタッフが毎回「その日の様子」「どんな女の子たちが来たか」をしっかり記録しています。それは、次に来たときに「前と同じように安心して過ごせるようにするため」です。
また最近では、セキュリティ対策をしなければならない状況も発生しています。安心できる場所を守るために、安全対策も検討しています。
3. 夜の街でつながる~アウトリーチ活動~
ぱっぷすでは、「カフェに来ることができない子たち」にも会うために、夜の街を歩いて声をかけるアウトリーチ活動もしています。
特に歌舞伎町や新宿では、夜遅くまで路上に立っている若者や、客引きに巻き込まれている子たちがたくさんいます。
「困っているなら、カフェがあるよ」
「もし怖い思いをしているなら、相談してね」
そうやって声をかけ、つながるきっかけをつくることも、大事なサポートのひとつです。
4. 社会のしくみを変えるために~制度提言と国際連携~
ぱっぷすは、日々の相談支援活動だけでなく、法律や制度を変えるためのアドボカシーも行っています。

今の制度では、デジタル性暴力の被害にあっても助けを求めることすら難しい現状があります。だからこそ、「もっと迅速に対応できる仕組みをつくってほしい」「被害者が安心して相談できる社会にしてほしい」という声を、国政にも届けてきました。
また、台湾からデジタル性暴力被害者支援団体のスタッフが来日し、ぱっぷすの事務所を訪れてくれました。台湾では、政府がしっかり削除要請の窓口を担っており、日本より迅速に対応ができているそうです。「日本も変わらなきゃいけない」という思いを、スタッフみんなが改めて強く感じました。後日メルマガでご紹介します。
さらに4月には海外のデジタル性暴力対策の視察に参加し、国際的な学びを国内の支援に活かしていきたいと考えています。
5. 啓発と社会へのメッセージ
ぱっぷすは、「支援するだけ」ではなく、被害に遭わないため、加害をさせないための情報発信も大切にしています。2月はNHKのドラマ「べらぼう」を見た感想を、現場の視点からメルマガで発信しました。
また、国内では「裸ローン」(裸の写真を担保にして金を借り、お金を返しても裸の写真をもとに更に脅す)など新しい形の被害も増えているため、今後わかりやすく情報を届けるサイトも準備中です。
さいごに
ぱっぷすには、今日もリアルタイムで「困っている」「助けてほしい」という性的搾取にまつわる声が届いています。
「今すぐ誰かに話を聞いてほしい」
「ネットに流された写真を消したい」
「家に帰れない、どこか安心して眠れる場所がほしい」
そうした切実な声に対して、私たちはスタッフ一人ひとりが懸命に応え続けています。
でも、現場は正直なところギリギリの状態です。
スタッフの献身と工夫でなんとか支えていますが、相談の数も、支援が必要な子どもや若者も、どんどん増えています。
それでも私たちは、ひとつひとつのSOSに寄り添い続けたい。
そして、子どもや若年層が「こんなに生きづらい社会」ではなく、安心して「助けて」と言える社会を一緒につくっていきたいと思っています。
もし、私たちの活動に共感いただけましたら、ご寄付という形で力を貸していただけませんか?あなたのご支援が、今日も「助けて」と声をあげる若者に、実際に届く支援になります。
2月は、みなさまから計399,145円のご寄付いただきました。
いつも応援してくださっている皆さん、本当にありがとうございます。
どうかこれからも、一緒に子どもや若年層をサポート仲間として、支えていただけたら嬉しいです。
ご支援を通じて、性的搾取に巻き込まれた人々に回復をもたらします。皆さまのご⽀援が、性的搾取の問題を解決する⼤きな⼒となっています。
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