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2025年3月の活動報告

  • 執筆者の写真: Admin
    Admin
  • 4月2日
  • 読了時間: 7分

更新日:4月3日


みなさんから夜カフェに届いた支援物資など
みなさんから夜カフェに届いた支援物資など

「困っている人がいるなら、力になりたい」 そんな思いが、私たちの日々の活動を支えています。ニュースで報じられる事件の裏に、声を上げられない多くの被害当事者がいます。


私たちぱっぷすは、その「声にならない声」に寄り添い、具体的な支援と変化をつくるため、今年度も活動を進めています。

 

いま、現場で起きていること——相談支援&アウトリーチ&削除対応

3月も終わりに近づき、現場では相変わらず多くの相談支援と削除要請が続けられています。スタッフからは「削除要請に終わりはない」との言葉もありました。性的画像の拡散では検索キーワードに関連づけられてない場合は、探しにくいという問題に頭を悩ませています。AV出演被害では、販売停止の当該ビデオが数百件から千件以上にのぼるケースもあり、時間との戦いが続いています。

ディープフェイクポルノに関連づけられる被害相談も寄せられつづけ、ネット空間に残る被害の情報の根深さがあらためて浮き彫りになりました。

 


相談支援で作成途中の通知文(個人情報は省いています)
相談支援で作成途中の通知文(個人情報は省いています)

最近、セクストーションの被害で警察に相談したところ、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)の運営するTakeitdownを案内されたというケースも増えてきました。Takeitdwonとは、オンライン上に流出した性的な画像・動画を削除するための支援ツールです。特に未成年の被害者が、自分の意思に反して拡散されている性的コンテンツを取り下げるための仕組みとして提供されています。

 

こうした日々の活動は目に見えにくいものの、一つひとつの対応が確実に被害者の力になっていると感じられます。


支援の「今」と「これから」——現場、政策、そして次の一手へ

売春防止法違反で逮捕され、警察署に勾留された方へのサポートについても新たに開始しました。拘留中の方と直接話す中で、元気な様子が見られたことに希望を感じたといいます。一方で、ブラトップの下着を差し入れようとしたものの、施設側の許可が下りず、支援のあり方について考えさせられる場面もありました。


 

セクストーションの新たな事例として、17歳の少女が「彼氏」だと信じていた相手から、性的な画像を使って脅される被害が発生しました。16歳未満であれば「面会要求等罪」が適用されますが、17歳の彼女にはこの規定が適用されません。これまでは、警察に相談しても「対応できない」と断られるケースが多くありました。しかし近年では、現行法の枠組みを最大限に活用し、対応が行われるケースも出てきており、関係機関の対応に、少しずつ変化の兆しが見られるようになっています。

 

こうした支援の裏側では、政策提言の動きも活発です。複数の国会議員との面会を重ねてきました。AV出演被害防止救済法の理解促進や、デジタル性暴力被害の実態共有に向けた働きかけが続いています。ぱっぷすでは「政策に現場の声を反映させたい」という強い思いから、ぱっぷすのアドボカシー活動が確実に実を結びつつあることが感じられました。

 

カフェとアウトリーチ

3月は年度末にあたり、アウトリーチやカフェ活動も忙しさを増しています。夜カフェのシフトが人手不足気味であり、ボランティアスタッフの協力でなんとか週5日の開所ができました。また、カフェでは利用者が少しずつ顔なじみになってきたことで、施設の清潔さが保たれるようになっているとの報告も。継続的な関わりが、支援の基盤づくりにつながっていることが伝わってきます。


寒くても頑張ったアウトリーチ

3月は外国人観光客の姿が多く、性的サービスを求めて来ているような男性たちの割合はやや少なく感じられました。とはいえ、「買う側」と思われる男性たちの動きは相変わらず活発で、女性に声をかける「キャッチ」の存在も目立っていました。特に気になったのは、呼び止め方が以前よりも強引になってきていることです。通行人の進路を遮るように立ちふさがったり、しつこく付きまとう様子は、10代~20代前半の彼女たちにとっては恐怖しかありません。


その一方で、若年女性たちからはいつも「ここでやってるよ」「ずっとここにいるんです」といった言葉からは、この場所が日常となっている様子がうかがえました。何気ないやりとりの中にも、少しずつ積み重ねてきた信頼のようなものが感じられ、続けてきたからこそ出会えた安心感がそこにありました。


アウトリーチ用のチラシ
アウトリーチ用のチラシ

一方で、明らかに街に不慣れな若年女性の姿も目立ちました。不安げに歩きながら周囲を見回し、誰とも会話できていないような様子が印象に残っています。まだ情報もつながりもないまま、この場所に立っているのかもしれない。そう思うと、私たちが話しかけられるタイミングの大切さを改めて感じました。


出会いの積み重ねと、新たな出会いのはじまりが交錯していました。顔を知っているからこそ届けられる言葉もあれば、まだ言葉が届かない女性たちもいます。どちらにも必要なのは、安心して話せる「関係性」と、「ここにいてもいい」と思えるような場所の存在です。

アウトリーチでは、寒い中での活動にも関わらず、スタッフが現場に足を運び、声かけから実際の支援につながったケースもありました。相談者との長年の関わりを通じて見えてきた変化についての報告があり、「今日はよく眠れそう」という言葉にスタッフとしての喜びが滲み(にじみ)ました。


夜カフェのひとこま

ある日はこたつが満員御礼になるほど。常連さんも初めての方も一緒になって、ごはんを食べたり、テレビを観たり。静かに過ごす方もいれば、話に花を咲かせるグループもいて、ゆったりとした時間が流れていました。


夜カフェの「こたつ」の様子(ただいま勉強中?)
夜カフェの「こたつ」の様子(ただいま勉強中?)

担当のホストに会えず、「また薬やっちゃいそう」とぽつりと話し、「パキってない」と笑ってくれたのが印象的でした。「ガールズバーで働き始めた!」と報告してくれた子も。「大学に行きたい」「高卒認定を取りたい」と話す声もちらほら。勉強道具を持って来ていた子は、ノートを広げて集中している様子もありました。「久しぶりに字を書いた」と言いながら、カフェノートに絵しりとりをしていた中学生たち。ふとした時間に出る素直な言葉が、心に残ります。「今日は担当にお金を使いすぎて鬱」とこたつで横に。

 

やさしい時間と、小さな変化

「今日はごはんだけ食べに来た」「寒くてちょっと休みに来た」そんな理由で来てくれるのもカフェの良さです。静かに過ごしたいときも、誰かと話したいときも、ここがそれぞれにとっての「ちょうどいい場所」であるようにと願いながら、スタッフも日々関わっています。

 


ひつじハウスに宿泊中の利用者の夕ご飯
ひつじハウスに宿泊中の利用者の夕ご飯

ひきつづき、ここにいれば、性を売らなくても済む場所、あたたかな場所をつくっていけるよう、見守っていきたいと思います。

 

節目の3月、スーパーバイザー宮本さんの引退と今後のぱっぷす相談体制


2015年AV出演被害のについて取材に応じたときの宮本節子さん(引用:毎日新聞Webより)
2015年AV出演被害のについて取材に応じたときの宮本節子さん(引用:毎日新聞Webより)

2025年3月31日——この日は、ぱっぷすにとって大きな節目となりました。設立メンバーである宮本節子さんが、スーパーバイザーを引退することになりました。


代表の金尻は16年にわたる宮本さんとの歩みを振り返り「性的搾取という巨大な利権構造の中で、宮本さんの支えがあったからこそ、ぱっぷすがサバイブしてこれました」と感慨深げに語りました。文京事務所時代のエピソードを交えながら、これまでの活動をともにしてきた仲間たちの名前が次々と挙がり、感謝と労いの言葉が贈られました。


「今までありがとうございました。皆さん、これからも頑張ってください」宮本さんの短くも力強い言葉に、ぱっぷすのこれまでとこれからが凝縮されていたように思います。


この3月も、相談支援、政策提言、アウトリーチ、削除要請と、ぱっぷすは走り続けました。そして一人の支援者の歩みが静かに幕を閉じましたが、志を引き継ぐ新しい一歩が踏み出されようとしています。桜の季節、どうかみなさんも体調に気をつけて、また新しい春を迎えていきたいと思います。


 

ご支援を通じて、性的搾取に巻き込まれた人々に回復をもたらします。皆さまのご⽀援が、性的搾取の問題を解決する⼤きな⼒となっています。


  • 毎月1000円で (1日33円)年間で1日居場所がない女性に対して安心・安全な宿泊支援ができます。
    毎月1000円で (1日33円)年間で1日居場所がない女性に対して安心・安全な宿泊支援ができます。
    毎月3000円で年間で1日デジタル性暴力被害者の相談支援窓口が維持できます。
    毎月3000円で年間で1日デジタル性暴力被害者の相談支援窓口が維持できます。
  • 毎月500円で年間1回繁華街での夜回り(アウトリーチ活動)で出会った若い女性に同行支援ができます。
    毎月500円で年間1回繁華街での夜回り(アウトリーチ活動)で出会った若い女性に同行支援ができます。





 

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